magic mirror  ( いつも )

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□ 物語り □

『ハイライト』

ハトは、まるで僕に数えてもらうのを待っているかのようにじっとしていた。
「29、30・・41」
数え始めて、そろそろ50に近づいた頃、僕はちらりと燕尾服のおじさんを見た。
「もしこの中に嘘のハトがいたらどうする?」
僕は、数え間違わないようにハトに目を凝らして言った。
おじさんは顔を一瞬凍らせて驚いたが、すぐに笑い出した。
「嘘のハトですか!そりゃあいい、面白いことを言いだす」
おじさんは、お腹をかかえて笑った。
僕は、おじさんの愉快そうな笑声に不機嫌になっし、苛立った。

残り僅かなハトの数は、足してきっと50になるだろうと予測できたから
、僕はおじさんの気を反らせようと考え付く話題で試したことを
見透かされたような気がしたからだ。
僕は、むっとしながらハトを数え終えた。
「はい、50羽いました」
つんとして答えた。
「ね、ちゃんと50でしょ。これ以上はここには来ないんですよ」
「なんでそんなことがわかるんだよ。おじさん、魔法使い?」
おじさんはまた笑い出した。
「だ、だって、今日が50でも明日は分からないじゃないか。毎日50羽なんておかしいよ」
僕は、顔を赤くして言った。
「ははははは、これは失敬。そうですね、魔法なんて使ってませんよ。第一、魔法使い
がいるのなら、私も逢いたいです」
「おじさんは、何?」
「人ですよ。川上洋二君」
「え、僕の名前……」
「ええ、知ってます。7月30日生まれ、12歳。苦手科目算数、好きなドーナッツは幾ら
でもお腹に入れられる」

「なっ、なんでそんなことまで知ってるの」
僕は、お腹のあたりがすっと冷たくなった。おじさんは僕を知っていた。けど、僕は知ら
ない。目の前にいる男なんて僕は初めてこの公園で会った。
僕は怖かった。怖くて震えて胸がドキドキした。
知らない人と話しちゃだめよ。と母さんに言われていた。
僕はバカだ。にこにこ笑ってハトに餌あげてた少し恰好が普通とは違うけど、いい人そう
だったから、油断した。
なんで声をかけたんだろう、なんでハトの数を数えたんだろう。
僕は、後悔した。急いで展望台の下に降りる階段を探した。
「ああ、驚かないでくださいよ。怪しいものじゃあないですから」
……十分怪しいから、僕に近づかないでよ。
「ええっと、そんなに怖い顔しないで下さいよ。まいったな」
おじさんは恥ずかしそうに頭をかいた。
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Date:2011/02/20
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